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2002年6月 4日 (火)

思い出話#5水色の真珠

南サンドリアの街は今日も賑やかで、色々な人々が行き交っています。
立ち話を楽しむ人。冒険の旅に出ようと準備をしている人。なにかクエのために人を集う人。

その中で、頭の上にある自分の名前の先頭に、茶色い小さなアイコンをつけてる人々がいます。良く見れば、革か布製の袋の様なマーク。
ヴァナに降り立ち間もないおいらには、ナンジャラホイ?な印です。

聞けば、それはバザーの印だとか。なるほどなるほど。これで、アイテムの売買をするわけですね。
まだこの時期は競売が稼動していなく、プレイヤー同士の経済活動はバザーに頼っていた時代でした。

ウィンドウショッピングのように、その小さな茶色い袋のマークを付けた人々の商品を何を見て回ります。

何に価値があり、何に価値がないのか皆目検討もつかず、所持金の少なさから全然購入には至りませんでしたが、展示している様々なアイテムを眺めるのはとても楽しいものでした。

さて、茶色い袋のマークを覚えたら、今度は様々な色をした丸い玉みたいな物を名前の先に付けている人達がいます。またもナンジャラホイ?な印です。

調べてみても、バザーではなさそうです。

まあいいや。そのうち分かるだろう。

楽観的にそのきれいな玉の事は気にせず、いつものように西ロンフォールに出かけていきました。

西ロンフォールに出ると、たくさんのPCがウサギや甲虫を相手に戦闘を楽しんでいます。ふと、またパーティを組んでみたくなり、2日目にフレンドを登録したタル女Cを捜し始めました。

捜し始めたといっても、彼女がログインしているか分かりません。
今ならフレンドリストを見て、すぐにログインしてるかどうか確かめて、声をかけることは出来るのですが、その当時のおいらはシステムをよく理解していなく、検索からエリア検索が出来ることを偶然見つけ、サンドリアとその周辺を捜して行きます。

サンドリア国内エリアを検索した後、西ロンフォールを検索すると、タル女Cを見つけました。

マニュアルを見ながら、

ええと。 スラッシュの後に t e ll 名前 と・・・

繰り返しますが、この当時はよくシステムを理解していなく、サーチからダイレクトにtellできる事を知らず、たどたどしく手動でコマンドを入力していました。

/tell タル女C こんにちは

返事がありません。
いないのかな?と思いもう一度呼びかけようとしたとき、返事がありました。

タル女C「こんにちは~。」

おいらが、今どのあたり?と聞くと

タル女C「西ロンフォール。」

と返してきます。

いや、そりゃ分かってるんだけどさ・・・と思いつつも、場所を聞くにもチャット技術が不足しているのと、座標を表すコマンドすら知らなかったので結局会話から居場所を特定するには至りませんでした。

そのうち会えるだろうと、彼女を捜しに森へ進みました。

・・・10分程捜したでしょうか?やっとタル女Cを見つけました。
彼女は一人ではありませんでした。

彼女の隣には、初めて見る背の高い男のエルヴァーンの姿がありました。タル女Cがタルタルの中でもSと一番小さいサイズなので、際立って大きく見えます。

タル女C「もみじ。なにしとるの?」

いや、捜してたんだけどさ・・・。と思いつつも、そのエルヴァーンに挨拶をしました。どうやら彼は、タル女Cの知り合いの様です。名前はA。例によってこの日記での表記はエル男Aとします。

タル女C「もみじ、こないだと服が違う!!。」

南サンドリアの道具屋で、無理して購入したローブに彼女が気付きました。

おいら「店で買った。」

タル女C「いいなあ、うちも欲しい。」

こないだは気付きませんでしたが、彼女は関西弁です。

さっき買ったばかりのローブをいきなり自慢出来てとてもうれしいです。これで、このローブは役目を達成しました。350ギルもの大金をハタイタ甲斐があったというものです。
・・・このタル女C以降まったくこのローブを誉めてくれた人はいませんでしたが・・・。

エル男Aは言いました。

「パーティ入る?。」

二人はパーティを組んでいました。
話を聞くと、彼はおいらよりも少し前、発売直後にこのヴァナ・ディールに降り立ったようです。日数的にはせいぜい10日前後の差ですが、その時のおいらには、彼が、ずっとこの世界に精通している様に思えました。

パーティを組みたかったおいらは、早速入れてもらいました。

エル男Aはシーフ
タル女Cは黒魔導師
おいらは白魔導師という構成です。

エル男Aがウサギに戦闘を開始しました。
初めてパーティを組んだときのあっという間に森のオークに敗北した事が頭に思い出されます。

今度は大丈夫かな?

すかさず、タル女Cがストーンという魔法で大きな岩をウサギにぶつけます。
ウサギはそれに怒ったのか、エル男Aからタル女Cに向きを変え、すごい勢いで突進してゆきます。
ウサギの攻撃を受けたタル女CのHPが、見る見る減っていきます。

おいらは、慌ててターゲットのカーソルをタル女Cに合わせ、白魔法のパレットを開き、ケアルを選び唱えます。
白い柔らかな光がタル女Cを包み、HPが回復しました。

その直後、ウサギは倒れました。

おいらは驚きました。
ソロでプレイしているときとは明らかに戦闘にかかる時間が短いのです。文字通り”あっ”と言う間でした。

パーティだとこんなに強いのか。

二人は言います。

「もみじ、すごーい。」
「ケアルすごいな。」

おいらにはよく分かりませんでしたが、二人はそれまで回復手段無しで戦っていたので、おいらのケアルにとても喜んくれました。
人の助けになればと白魔導師を選んだおいらです。その言葉がとてもうれしく感じました。

これが、おいらの・・・白魔導師の力なんだ。

ソロで戦闘をしているときは、タイミング悪く敵の攻撃を受け、ケアルの詠唱を中断させられ、そのまま戦闘不能になってしまう事も珍しくなかった白魔導師。

FFXIはとても難しいゲームだ。

プレイし始めてしばらく、そういう印象を強く持っていました。
それは、後に他のジョブを少しばかり体験することで解かったのですが、白魔導師が攻撃力にあまり優れず、防御面でも弱いといった、ジョブ独自の難易度が大きかったのです。
回復のエキスパートのジョブなので、当たり前と言えばそうなのですが、その頃のおいらは、どんなジョブでも序盤はある程度行けるだろうという勝手な思い込みを持っていたので、それに気付きもせずに難しいと考えていたのです。

西ロンフォールに、黄昏の時間が訪れています。夕日が、優しい木洩れ日となって、キラキラしています。

そんな景色の中、さらに戦闘は続きます。
エル男Aが、戦闘を開始するのを合図に、タル女Cが黒魔法を唱えます。おいらはケアルをMPの限り唱えます。キノコやオークを次々倒して行きます。

ソロには無いそのスピーディな戦闘に、おいらはとても興奮していました。そして、なんともいえないパーティ独特の連帯感みたいなものに、おいらはハマって行きます。

すごい!!。強い!!。楽しい!!。

このまま3人で行けば、どんな敵でも倒せるそんな気にさえなりました。

しばらく戦闘をこなし、ヒーリングをしているときに、

「もみじ、これあげる。」

エル男Aが、そう言ってトレードを申し込んで来ました。

それは、小さな水色の丸い玉でした。
そう、サンドリアの町で見たあの様々な色をした玉です。

トレードを終了すると、エル男Aが簡単に説明してくれました。

「リンクパールっていうやつなんだけど、付けてる人だけで会話できるんだよ。」

おいらが、玉だと思っていたのは実は真珠だったのです。
そのパールは薄い水色で、青よりは白に近く透き通ったきれいな色をしていました。
見よう見まねでそれを身に付けると、二人の声が今までとは違う緑色をした文字で表示されました。

よく見るとパールにはD*****と名前があります。

どうやらこれは、このリンクシェルなるものの名前で、いわゆる××部とか××サークルとかいう感じでグループの名前のようです。
リーダーはもちろん彼。エル男Aです。

(申し訳ないのですが、PCの名前同様今現在も活動を続けているプレイヤーを考慮して、LSの名前も頭文字だけの表記にします。)

これが、おいらにとって初めてのリンクシェルとなりました。
それは、おいらにとって仲間と呼べる人達が初めて出来た瞬間でもありました。

「エル男A。ありがとう!!。」

4年たった今でも、エル男Aにパールをもらった時の感動を覚えています。
思い出に順位は無いと思うのですが、それでもあの時の気持ちは、ヴァナ・ディールに滞在した時間の中で間違いなく上位に数えられます。あの瞬間が無ければ、今のおいらも無かったでしょう。本当に素敵で素晴らしい出来事でした。

おいらは、自分の名前の先に付いた水色の真珠を、しばらくポーッとながめていました。

「次、行こう!!。」

エル男Aが立ち上がり、近くのキノコに戦闘を開始します。
これからの戦いは、仲間と一緒です。
その仲間を守るために、おいらのケアルがあります。
そんな強い決意を胸に秘め、おいらはヒーリングから立ち上がり、3人のHPゲージに集中します。

ヴァナ・ディールに来て4日目の出来事でした。

Mom020611140211
▲記事の内容の時よりしばらく後のおいらの姿。
まだ、スクエアエニックスになる前の会社名の表示が懐かしいですね。

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